同主調とは?主音が同じ長調と短調の違い

楽譜や音楽理論の説明で「ハ長調とハ短調は同主調」と言われても、どの音が同じで、何が変わるのか迷うことがあります。特に「平行調」と名前が似ているため、混同しやすい用語です。

この記事の結論

同主調(どうしゅちょう)とは、主音(調の中心となる音)が同じで、長調と短調が異なる2つの調の関係です。代表例はハ長調(Cメジャー)とハ短調(Cマイナー)。どちらも中心の音はドですが、音階や調号は異なります。

見分けるときは「主音が同じか」を先に確認し、次に長調と短調の組み合わせかを調べるのが確実です。

同主調とは?「同じ主音」を持つ長調と短調

音楽でいう「調」には、曲の中心として感じられる音である主音(トニック)と、その周囲を構成する音階の仕組みがあります。同主調では、主音が共通していても、長調と短調で音程の並び方が異なるため、旋律や和音の響きも変わります。

比較する項目ハ長調(Cメジャー)ハ短調(Cマイナー)
主音ド(C)ド(C)
音階の基本形ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド(自然短音階)
調号なし♭3つ(シ・ミ・ラ)
主和音C(ド・ミ・ソ)Cm(ド・ミ♭・ソ)
2つの調の関係同主調:主音は同じ、長調・短調が異なる

表のハ短調は自然短音階を基本形として示しています。短調では実際の楽曲中で和声短音階・旋律短音階に由来する変化音が使われることもあるため、「短調なら常に音階の音が固定される」と考えないようにしましょう。

POINT

同主調の「同じ」は主音についての話です。使用する音や調号が同じという意味ではありません。ハ長調とハ短調は、ド・レ・ファ・ソなど共通する音もありますが、第3音のミとミ♭などに重要な違いがあります。

同主調はどの音が変わる?音階とコードの違い

長音階と自然短音階では第3・第6・第7音が違う

同じドを起点にしたとき、CメジャーとCナチュラルマイナー(自然短音階)では、第3音・第6音・第7音が半音ずつ異なります。

音の位置CメジャーC自然短音階
第1音(主音)ドド
第2音レレ
第3音ミミ♭
第4音ファファ
第5音ソソ
第6音ララ♭
第7音シシ♭

ここでは同じ主音から始まる音階同士を比べています。特に第3音は、長調・短調の基本的な違いを理解する鍵になります。

主和音はCとCmになる

長調の主和音Cは「ド・ミ・ソ」、短調の主和音Cmは「ド・ミ♭・ソ」です。根音と第5音は共通でも、第3音だけが半音下がります。

鍵盤で最初に試す2つの和音
  • C:ド・ミ・ソを同時に弾く
  • Cm:ド・ミ♭・ソを同時に弾く

低いドとソはそのままで、真ん中のミだけを半音下げてみましょう。構成音のわずかな差で響きが変わることを体感できます。

短調ではシ♮などの臨時記号も登場する

ハ短調の調号は♭3つですが、和声的な進行を作るときには、第7音のシ♭をシ♮に上げることがあります。たとえばハ短調でG(ソ・シ・レ)からCmへ進む場合、シ♮がドへ半音で進む力を生みます。

このため、同主調を比較するときの基本の音階と、実際の曲で使用される臨時記号は分けて考える必要があります。

同主調と平行調の違い|間違えやすい2つの関係

同主調と平行調の違いは、何を共通にしているかです。日本語の音楽理論では一般に、同主調は主音が同じ、平行調は調号が同じという区別をします。

関係共通するもの例
同主調主音ハ長調(C)とハ短調(Cm)
平行調調号(基本的な音階構成音)ハ長調(C)とイ短調(Am)

同主調:ハ長調とハ短調

2つともドを主音にします。しかしハ長調の調号はなし、ハ短調の調号は♭3つです。「同じドを中心にして、長調と短調を切り替える」と覚えると分かりやすくなります。

平行調:ハ長調とイ短調

ハ長調の主音はド、イ短調の主音はラです。主音は異なりますが、調号はどちらもなし。イ自然短音階はラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソで、ハ長調と同じ白鍵を使います。ただし短調では臨時記号が現れる場合があります。

英語の用語と取り違えない

英語で同主調は parallel major/minor、平行調は relative major/minor と呼びます。日本語の「平行調」を英語のparallelと直結すると意味が逆になるため、海外の教材を見るときは注意しましょう。

同主調の組み合わせ一覧|主要な音をすぐ確認

長調と短調の名前を比較すると、同主調の組み合わせはすぐに見つけられます。以下はよく使う例です。

長調同主調の短調共通する主音
ハ長調(C major)ハ短調(C minor)ド(C)
ト長調(G major)ト短調(G minor)ソ(G)
ニ長調(D major)ニ短調(D minor)レ(D)
ヘ長調(F major)ヘ短調(F minor)ファ(F)
変ロ長調(B♭ major)変ロ短調(B♭ minor)シ♭(B♭)
イ長調(A major)イ短調(A minor)ラ(A)

この表で重要なのは、調号の数を覚えることよりも調名の音(ハ=C、ト=Gなど)が一致しているかを確認することです。♯や♭を含む主音も、同主調では同じ高さの音を中心にします。

同主調は何に使う?演奏・作曲での実例

メロディーの雰囲気を変えて弾く

単純な練習として、ドを出発点に「ド・ミ・ソ・ミ・ド」を弾いた後、「ド・ミ♭・ソ・ミ♭・ド」を弾いてみましょう。第3音を変えるだけでも、長調的な響きと短調的な響きの差を感じ取れます。

ただし音楽の明るさ・暗さはテンポ、音色、和音、演奏表現によっても変わります。同主調なら必ず同じ感情になるという決まりではありません。

同じ主音のまま曲の途中で調を切り替える

たとえばCメジャーの旋律や和声からCマイナーへ変化する演出では、中心音のドを保ったまま、ミをミ♭にするなどして響きを切り替えられます。このような同じ主音の長調と短調のあいだの調の変化は、同主調間の転調として説明できます。

ただし、曲中で一度だけCmコードが登場しても、必ずハ短調へ転調したとは限りません。長調の中で同主短調から和音を取り入れる借用和音の場合もあるため、旋律・和声の流れや中心となる調を合わせて判断します。

同主短調から借りたコードで色合いを加える

Cメジャーの進行「C→F→G→C」と、「C→Fm→G→C」を弾き比べてみましょう。後者のFm(ファ・ラ♭・ド)は、Cマイナーで自然に現れる和音の一つです。長調の曲にFmを置くと、ラからラ♭への音の変化が印象的に聴こえることがあります。

POINT

ここで比較しているのは同主調への転調そのものではなく、同主短調の音を利用した和音の使い方です。「調が変わる」と「一部のコードを借りる」は区別しましょう。

同主調を理解する練習|鍵盤・声・ギターでもできる3段階

STEP 1|主音を固定して長調と短調を順に鳴らす

鍵盤ならCメジャーの「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」とC自然短音階の「ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド」をゆっくり弾きます。歌う場合は、楽器で最初のドを確認してから音程をたどります。

確認すること:始まりと終わりはどちらもドか、第3・第6・第7音の違いが分かるか。

STEP 2|CとCmの主和音を比べる

C(ド・ミ・ソ)とCm(ド・ミ♭・ソ)を交互に鳴らします。ギターの場合は実際の押さえ方で比較しつつ、理論上の第3音の違いにも注目してください。

確認すること:ドが共通の根音で、第3音のみ異なると説明できるか。

STEP 3|同主調か平行調かを自分で判定する

「CとCm」「CとAm」「GとGm」「GとEm」を分類してみます。前者2組のうち、主音が同じものが同主調、調号が同じものが平行調です。

答え:C–CmとG–Gmが同主調、C–AmとG–Emが平行調です。

練習の目安(編集上の一例)

まず1回5分程度、CメジャーとCマイナーの音階・和音・名称をセットで確認するだけでも構いません。速さや日数よりも、「主音を変えずに音階の性格が変わる」と自分の言葉で説明できるかを到達点にしましょう。

同主調でよくある疑問・間違い

同主調は音がすべて同じという意味?

違います。同主調で共通なのは主音です。ハ長調とハ短調なら、どちらもドを主音にしますが、音階の第3・第6・第7音(自然短音階との比較)は異なります。

調号が同じなら同主調?

違います。ハ長調とイ短調のように調号が同じ長調・短調の組み合わせは平行調です。調号ではなく主音を見てください。

短調ではいつも第7音が半音下がる?

自然短音階では、同じ主音の長音階より第7音が半音低くなります。ただし和声短音階や旋律短音階を用いる場面では第7音を上げるため、実際の短調の曲では臨時記号が現れます。

コード1つがマイナーになったら同主調へ転調したことになる?

必ずしもそうではありません。一時的な借用和音かもしれません。転調の判断は、前後の和音や旋律、どの音・和音に落ち着くかまで見て行います。

同主調を見分けるために最初に覚えること

迷ったら、共通するものから判定する
主音が同じ長調と短調

同主調です。例:CとCm、DとDm。

調号が同じ長調と短調

平行調です。例:CとAm、GとEm。

コード1つだけ変化している

同主調への転調と決めつけず、借用和音かどうかも確認します。

最終結論

同主調は、主音が同じ長調と短調の関係です。ハ長調とハ短調はどちらもドを中心にしますが、音階と調号は異なります。調号が同じハ長調とイ短調は平行調なので、混同しないようにしましょう。

今日の確認:C(ド・ミ・ソ)とCm(ド・ミ♭・ソ)を弾き比べ、「ドは同じで第3音が違う」と説明できれば基本は理解できています。

次はCメジャー音階とC自然短音階を順に弾き、第3・第6・第7音を聞き分けてみましょう。