ドラムのリズムが走る・もたる原因|テンポのズレを直す練習

ドラムを叩いていると、気づかないうちにテンポが速くなったり、クリックより遅れてしまったりすることがあります。自分では一定に叩いているつもりでも、録音するとリズムが揺れていることも珍しくありません。

この記事の結論

ドラムのリズムが走るのは拍より前へ急ぎ、もたるのは拍より後ろへ遅れる状態です。原因を見つけるには、録音して「どの音が・どの場面で・どちらへずれるか」を確認するのが第一歩です。

特にハイハット、スネア、バスドラムを分けて確認し、安定する速さで短いパターンを練習しましょう。単にメトロノームに合わせて長く叩くだけでは、ずれの原因を特定できない場合があります。

この記事では、「走る」「もたる」の見分け方、ドラムで起こりやすい原因、具体的な直し方と練習メニューを紹介します。

ドラムが「走る」「もたる」とは?

基準となる拍に対して、実際に叩くタイミングが前後することを表す言葉です。ただし、曲全体のテンポが変わる場合と、特定の音だけが拍より前後する場合は区別して考えます。

状態起きていること聴こえ方の例
走る拍より早く音を出す/演奏全体が次第に速くなるフィルインの後にサビが急に速く感じる
もたる拍より遅れて音を出す/演奏全体が次第に遅くなるバスドラムを踏む位置がクリックの後ろへずれる
意図的な前後のノリ一定の拍の中で音の位置を表現として調整するスネアをやや後ろに置いてもテンポ自体は安定している

意図的に後ろ寄りのタイミングを作る演奏と、コントロールできずに遅れる状態は同じではありません。まずは狙った位置で繰り返し演奏できるかを判断基準にしてください。

最初に確認すること|テンポ全体のずれか、一部の音のずれか

修正を急ぐ前に、スマートフォンなどで8小節程度の演奏を録音します。可能ならクリック音を別に確認できる録音方法を使いましょう。クリックが録れない場合は、再生中に基準の拍を手拍子で取り、どこからずれるかを聴きます。

ずれ方で原因を絞る
曲が進むほど全体が速く・遅くなる

体内の拍の維持、緊張、疲労、苦手なテンポなどを確認します。まずハイハットだけで同じ長さを演奏して比較してください。

スネアやバスドラムだけが前後する

手足の動き出しや、特定の音を強く叩こうとする癖が関係している可能性があります。ずれるパートを単独で練習してから組み合わせます。

フィルイン後だけテンポが変わる

音数が増えたことで拍の位置を見失っている場合があります。フィルイン最後の1拍と次の小節の1拍目をセットで確認します。

リズムが走る主な原因と改善方法

1.緊張や盛り上がりで動きが急ぐ

サビやライブのように気持ちが高まる場面では、腕や足の動作が先行し、次の拍へ急いで入りやすくなります。特に強く叩く瞬間ほど、音量を上げても拍の間隔は変えないことを意識しましょう。

対策として、同じ8ビートを小さな音量と大きな音量で交互に叩き、録音でテンポ差を確認します。大きく叩くと速くなるなら、動きが無理なく続けられる音量へ戻します。

2.フィルインで音を詰め込みすぎる

音数の多いフィルインを急いで叩くと、最後の音を早く終えて次の1拍目へ飛び込みやすくなります。最初は音数を減らした2拍のフィルインに変え、最後の音から次のクラッシュやバスドラムまでの間隔を一定にします。

3.次の音を予測できず、細かい音符が前へ寄る

8分・16分音符を手だけで急いで処理すると、拍の分割が均等にならないことがあります。「1と2と」などのカウントを声に出し、ハイハットの刻みを一定にしたうえでスネアとバスドラムを足しましょう。

リズムがもたる主な原因と改善方法

1.テンポに対して動作が大きすぎる

腕を高く上げすぎたり、スティックを大きく振りかぶったりすると、次の音に間に合わないことがあります。テンポを下げて無理のない振り幅を探し、小さな動作でも音を揃えられるか確認します。

2.バスドラムやスネアの入りが遅れる

足の踏み込みと手の動きが噛み合わないと、特定の音だけが後ろへずれます。まずバスドラムだけをクリックに合わせ、次にハイハット、最後にスネアを追加してください。足だけでずれるなら、ペダルの位置や動作も確認します。

3.疲れや力みで後半に遅くなる

数小節は合っていても、長く叩くほど筋肉が疲れてもたる場合があります。その場合は連続演奏を短く区切り、肩や手首、ふくらはぎの緊張を確かめてください。痛みやしびれがある状態で反復練習を続けないことが大切です。

走り・もたりを直す5ステップの練習方法

練習は自分が安定して演奏できるテンポで始めます。以下のBPMや時間は編集上の一例であり、誰にでも同じ速さが適するわけではありません。

STEP 1|クリックに合わせて拍を声に出す

たとえばBPM60〜80のうち無理のない速さを選び、「1・2・3・4」と声に出しながら手拍子します。拍がずれる場合は、まだドラムを組み合わせません。

STEP 2|ハイハットだけで8分音符を刻む

「1と2と3と4と」と数え、ハイハットだけを8小節叩きます。音の間隔が詰まる場所、広がる場所を録音で確認します。

STEP 3|バスドラムとスネアを一つずつ加える

基本の8ビートなら、バスドラムを1・3拍、スネアを2・4拍に置く例から始めます。音を増やした瞬間にずれたら、その組み合わせを2小節に短縮します。

STEP 4|2小節のフィルインを簡単に入れる

まずは最後の小節の4拍目だけに簡単なフィルを入れ、次の小節の1拍目へ戻ります。拍を見失う場合は、音数をさらに減らします。

STEP 5|クリックを外した後も同じ拍を保てるか確認する

クリックありで4小節、なしで4小節を演奏し、再びクリックを鳴らした位置と合うか確認します。機器にミュート機能がなければ、録音を使って一定区間のテンポ変化を確認します。

POINT

ずれが減ってからテンポを少し上げます。速さを上げた直後に走る・もたる場合は、直前の安定したテンポへ戻しましょう。「8小節を安定して演奏できる」など、自分で確認できる条件を次に進む目安にします。

1日10分の練習メニュー例

次のメニューは短時間で原因を確認するための編集上の練習例です。毎回すべて完璧に行う必要はありません。

時間内容確認する点
2分クリックとカウント、手拍子拍の間隔が一定か
2分ハイハットだけで8分音符音が前後へ寄らないか
3分8ビートを2〜4小節ずつスネア・バスドラムの位置
2分フィルインから次の1拍目切り替えでテンポが変わらないか
1分録音を聴いてメモ次回直す点を一つ決める

録音メモは「サビ前のフィルで走る」「3拍目のバスドラムが遅れる」のように書くと、次回の練習が具体的になります。

走る・もたるときの原因別チェック表

よくある症状考えられる原因最初に試すこと
サビで全体が速くなる興奮・強い打音で動作が急ぐ音量を抑え、8小節のテンポを録音比較
フィルインの直後に走る音数に意識が集中して拍を見失うフィルを減らし、次の1拍目を狙う
バスドラムだけ遅れる足の動きや手足の連携が不安定足単独→ハイハット追加で確認
後半ほどテンポが落ちる疲労・大きな動作・力み短い区間に分けて振り幅を見直す
クリックが鳴ると叩きにくいクリックを追いかけている/拍の位置が曖昧声でカウントし、手拍子からやり直す

バンド演奏でもリズムがずれる場合は?

一人では安定して叩けても、ベースやギターと合わせると揺れる場合があります。ほかのパートに引っ張られているのか、自分が先行しているのかを確認するため、可能なら合奏全体を録音してください。

  • 最初に曲の基準テンポとカウントの出し方を合わせる。
  • ドラムとベースだけで短い区間を合わせ、キックとベース音の位置を確認する。
  • 全員が同じフレーズで走るなら、個人だけでなくアレンジやフィルの難度も見直す。

ずれを指摘するときは、誰かの演奏を責めるのではなく「何小節目のどの音か」を共有すると改善につながりやすくなります。

クリックに合うことだけを目的にしない

メトロノームは基準を確認する道具です。クリックに合わせようとして動作が固くなり、音色やフォームが崩れる場合は、テンポを下げてリラックスできる動きに戻しましょう。意図的なグルーヴの前後関係まで一律に「間違い」とする必要はありません。

ドラムの走り・もたりについてよくある質問

メトロノーム練習をすれば必ず直りますか?

メトロノームは役立ちますが、それだけで必ず直るとは限りません。どの音がずれるかを録音で見つけ、手足の組み合わせやフィルインの難度を調整することが重要です。

速い曲で走る場合、速いテンポのまま練習すべきですか?

まずは音の位置をコントロールできるテンポに下げる方が確認しやすくなります。安定したら段階的に上げ、崩れたら戻してください。

スネアが少し後ろに聴こえるのは悪いことですか?

音楽表現として狙っている場合もあります。大切なのは、基準となる拍を保ち、同じ位置を再現できるかどうかです。無意識に遅れてしまう場合は修正対象として扱いましょう。

まとめ|ずれる音と場所を特定して、短く練習する

最終結論

ドラムの走り・もたりは、気合いで「一定に叩こう」とするだけでは直しにくいものです。全体のテンポが動くのか、特定の音が前後するのかを先に分けることが改善への近道です。

今日の一歩:クリックに合わせて8ビートを8小節録音し、「ずれた小節・パート・方向」を一つ書き出す。その箇所をゆっくり2小節から練習する。

安定して演奏できたら、フィルインや曲全体へ広げていきましょう。練習してもずれる位置がつかめない場合は、ドラム講師に録音やフォームを確認してもらう方法もあります。