楽譜に「:||」のような記号や「1.」「2.」と書かれた括弧が出てくると、「どこに戻るのか」「同じ部分を何回演奏するのか」で迷いやすくなります。さらにD.C.やD.S.まで登場すると、紙面の小節順と実際の演奏順が一致しなくなります。
反復記号は、演奏した部分へ戻る場所と、繰り返した後に進む場所を指定する記号です。
まず終止反復記号「:||」を見つけ、開始反復記号「||:」があればそこへ、なければ原則として曲の冒頭へ戻ると覚えましょう。1番括弧・2番括弧があるときは、1回目と2回目で異なる小節を通ります。
D.C.は冒頭へ、D.S.はセーニョ記号へ戻る指示です。実際の演奏順を数字で書き出すと間違いを防げます。
ここでは、基本の反復記号から括弧、D.C.・D.S.・Codaまでを、小節番号を使って順に読み解きます。
反復記号の種類と意味を一覧で確認
反復記号は「一定の区間を繰り返すもの」と「離れた位置へ移動するもの」に分けると整理しやすくなります。以下の表では、文字だけでも位置関係がつかめるように、代表的な表記を示します。
| 表記・名称 | 意味 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| ||:(開始反復記号) | 繰り返す区間の始まり | 後で戻る位置 |
| :||(終止反復記号) | ここまで演奏したら戻る | 対応する開始位置 |
| 1./2.(1番括弧・2番括弧) | 1回目と2回目で通る部分を変える | どの回に演奏する小節か |
| D.C.(ダ・カーポ) | 曲の冒頭へ戻る | 戻った後の終点 |
| D.S.(ダル・セーニョ) | セーニョ記号へ戻る | セーニョの位置 |
| Fine(フィーネ) | 指定された進行で演奏を終える位置 | いつFineへ到達するか |
| To Coda/Coda | 指定のタイミングでコーダへ飛ぶ | 飛ぶ合図と飛び先 |
ここで示す「||:」「:||」は、縦線と二つの点を文字で表したものです。楽譜上では太い小節線と二つの点の組み合わせで描かれます。ソフトや出版物により表示の形は多少異なります。
基本の反復記号「||:」「:||」の読み方
開始と終止が両方ある場合
開始反復記号「||:」から終止反復記号「:||」までの区間を演奏し、通常はその区間をもう1回演奏してから先へ進みます。特に回数指定がなければ、区間全体を合計2回演奏する読み方が基本です。
紙面上の例:1|2|||: 3|4|5 :|||6|7
実際の演奏順:1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 3 → 4 → 5 → 6 → 7
戻るのは曲の最初ではなく、小節3の手前にある開始反復記号です。
終止反復記号だけがある場合
終止反復記号「:||」だけがあり、対応する開始反復記号が見つからない場合は、一般に曲の冒頭へ戻って演奏します。
紙面上の例:1|2|3|4 :|||5
実際の演奏順:1 → 2 → 3 → 4 → 1 → 2 → 3 → 4 → 5
反復記号の二つの点が右側なら開始、左側なら終止と見ると区別しやすくなります。楽譜が見開きや次の段にまたがっていても、戻り先を探してください。
回数指定がある場合
「3 times」「×3」のように繰り返し回数が明記されている場合は、その指定に従います。「合計3回演奏」なのか「3回繰り返す」なのか、楽譜の注記が曖昧な場合は確認が必要です。特に複数の奏者で演奏するときは、練習前に認識を揃えましょう。
1番括弧・2番括弧がある場合の演奏順
1番括弧(1.)と2番括弧(2.)は、繰り返しの1回目と2回目で結末を変えるための指定です。「1番括弧も2番括弧も毎回弾く」と考えると演奏順を間違えます。
反復区間を進み、1番括弧の中を演奏します。通常はその終わりにある「:||」で開始位置に戻ります。
共通部分をもう一度演奏したら、1番括弧は通らず、2番括弧の小節に進みます。その後は楽譜の先へ進みます。
紙面上の例:||: 1|2|3|[1番括弧:4 :||][2番括弧:5]|6
実際の演奏順:1 → 2 → 3 → 4 → 1 → 2 → 3 → 5 → 6
「4の次は5」ではなく、最初の4の後に1へ戻るのがポイントです。括弧が付く位置は通常、小節の上に横線で示されます。
1番括弧の後で戻ったのに、2回目も1番括弧へ入ってしまうケースが多く見られます。楽譜の1番括弧に「1回目のみ」、2番括弧に「2回目のみ」と鉛筆でメモすると、練習中に迷いにくくなります。
D.C.・D.S.・Fine・Codaが出てきたらどう読む?
これらは反復小節線とは別に、曲の離れた場所へ移動するための指示です。まず略語の意味を確認し、「戻る場所」と「戻った後の終点」をセットで読むのが基本です。
D.C. al Fine|冒頭へ戻りFineで終わる
D.C.は「Da Capo」の略で、曲の冒頭へ戻ることを示します。「al Fine」が付いている場合は、戻ってからFineの位置で終わります。
紙面上の例:1|2[Fine]|3|4[D.C. al Fine]
実際の演奏順:1 → 2 → 3 → 4 → 1 → 2(終了)
最初にFineの位置を通っても、上の例ではその場で終わらず、D.C.の指示を実行した後でFineを終点とします。
D.S. al Fine|セーニョへ戻りFineで終わる
D.S.は「Dal Segno」の略で、楽譜内のセーニョ記号(通常、装飾的なSに似た記号)がある位置へ戻ります。
紙面上の例:1|2[Segno]|3[Fine]|4|5[D.S. al Fine]
実際の演奏順:1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 2 → 3(終了)
冒頭へ戻るD.C.と違い、D.S.はセーニョより前の小節を再演奏しません。
D.S. al Coda|セーニョへ戻り、途中からコーダへ進む
「Coda(コーダ)」は曲の終結部分を示します。D.S. al Codaの場合、まずD.S.でセーニョへ戻り、指定の「To Coda」に再び到達したときにCodaの開始位置へ飛びます。D.C. al Codaも考え方は同じですが、戻り先が冒頭になります。
紙面上の例:1|2[Segno]|3[To Coda]|4|5[D.S. al Coda]|6[Coda]|7
実際の演奏順:1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 2 → 3 → 6 → 7(終了)
最初に小節3のTo Codaを通ったときは飛ばず、D.S.で戻った後の2回目にコーダへ移動する例です。楽譜に別の指示や特別な構成があるときは、その表記を優先します。
略語だけで覚えるより、D.C.=冒頭、D.S.=セーニョ、Fine=終点、To Coda=コーダへ移動する合図の4点を楽譜に書き込むと、複雑な進行も追いやすくなります。
反復記号が複数ある楽譜を間違えずに読む手順
楽譜をいきなり通して弾く前に、演奏経路を確かめましょう。実際の演奏前なら、次の順序で確認すると効率的です。
すべての「:||」に印を付け、対応する「||:」がどこか確認します。なければ通常は冒頭に戻ると判断します。
1番括弧・2番括弧の範囲を確認し、1回目と2回目の分岐を読み分けます。回数指定があれば先にチェックします。
戻り先と終点を一組で特定します。移動するタイミングが指示されている場合は、その順番を優先します。
「1→2→3→1→2→4」のように紙に書き、一度も飛ばしてはいけない小節や、2回目に省略する小節を確認します。
楽譜上で移動先を指さしながら、最後まで迷わずたどれるか試します。複数人で演奏するなら、全員で演奏順を共有してください。
反復記号でつまずきやすい疑問と対処法
「:||」に来たら何回戻ればいい?
回数の指定がなければ、反復区間を合計2回演奏するのが基本です。区間を初めて通った際に1回戻り、2回目の終止反復記号は通過して先へ進みます。
反復記号とD.C.が両方ある場合は?
通常の反復とD.C.・D.S.による再訪が重なる場合、戻った後に反復小節線も再実行するかどうかは、楽譜の指示や演奏慣習に左右されます。一般にはD.C.・D.S.で戻った後は反復を省略して進むことが多いものの、必ずそうなるとは限りません。「con rep.」(反復あり)、「senza rep.」(反復なし)などの注記がないか確認し、不明なら指導者や演奏者同士で演奏順を統一してください。
「1.」「2.」のほかに「3.」がある場合は?
3番括弧がある楽譜では、3回目にその括弧を通る指示を表します。数字が付いた括弧の範囲と、反復を行う回数をセットで確認しましょう。「1., 2.」のように複数の回で使う括弧がまとめられている場合もあります。
戻る場所をすぐ見失う場合は?
開始反復記号と終止反復記号に同じ記号や色で目印を付ける方法があります。演奏中に書き込めない場合は、小節番号を確認し「8小節目で3小節目へ戻る」のように練習前に覚えておくと安心です。
反復記号の読み方の最終結論
反復記号は、すべての小節を左から右へ一度だけ読むのではなく、指定された区間・分岐・移動先に沿って演奏順を組み立てるための記号です。
まずは「||: 1|2 :|||3」を1→2→1→2→3と書き出し、次に1番括弧・2番括弧付きの例を声に出して追いましょう。音を弾く前に道順が分かれば、実際の演奏も安定します。