「作曲をしてみたいけれど、楽器が弾けない」「音楽理論が分からないまま独学しても大丈夫?」と迷っていませんか。作曲は、最初から難しい理論や高価な機材を揃えなくても取り組めます。ただし、思いつくままに音を並べるだけでは、途中で何を直せばよいのか分からなくなることがあります。
作曲を独学で始めるなら、短いメロディーを作る → リズムを整える → 簡単な伴奏を付ける → 曲の形にする → 録音して聴き直すという順番がおすすめです。
最初から1曲を完成させようとせず、まずは4小節程度の音のまとまりを作り、翌日も聴いて直せる状態を目指しましょう。鍵盤や楽器がなくても、声とスマートフォンの録音機能から始められます。
この記事では、独学で必要な最低限の準備、実際に手を動かす練習手順、曲がまとまらないときの見直し方、自己流で続ける際の注意点を説明します。
目次
作曲の独学に必要なものは3つで十分
独学を始める段階で重要なのは、思いついた音を残し、あとで比較できる環境です。制作機材を一度に揃える必要はありません。
- 音を出す手段:自分の声、ピアノ、ギター、スマートフォンの鍵盤アプリなど、使いやすいものを1つ
- 記録する手段:ボイスメモ、録音アプリ、楽譜ノート、DAWなどのいずれか
- 聴き直す時間:録音したフレーズを再生し、「残す音」と「直す音」を決める時間
楽器が使える人は楽器で試し、弾けない人は鼻歌を録音するところからで構いません。楽譜が読めなくても、最初の短いメロディーを考えることはできます。
音符の入力や楽器操作に慣れていない人向け。自由に歌って録音し、気に入った一節を繰り返し聴きます。
音の高さやコードを試しながら作りたい人向け。使える音を少なく絞ると、発想を整理しやすくなります。
打ち込みで音を並べ、伴奏も作りたい人向け。まずは録音・再生・音符入力など最低限の操作だけ覚えれば十分です。
どの方法でも、最初の目標は機材の使いこなしではなく、自分で作った短い音楽を保存して聴き直すことです。
初心者が独学で作曲する6つの練習手順
ここでは例として、4分の4拍子、4小節の短いフレーズを作ります。4小節は必須の決まりではなく、最初の作業量を小さくするための目安です。
「落ち着いた」「明るい」「歩いているような」など、イメージを1つ決めます。速さや音の動きに迷ったとき、この言葉を判断基準にします。
鼻歌か楽器で数音をつなぎ、気に入った部分を録音します。最初は使う音を3〜5種類程度に限定しても構いません。すぐに消さず、異なる案を2つほど保存して比較します。
前半のリズムを一部繰り返し、最後だけ音を変えてみます。「問いかける感じ」と「答える感じ」を意識すると、4小節にまとまりが生まれやすくなります。
4分の4拍子なら「1・2・3・4」を数え、録音に合わせて拍を取ります。音の長さが曖昧な箇所は、休符を入れるか同じ音を伸ばすかを試します。
メロディーがある程度まとまったら、鍵盤や打ち込みで低音を加え、合う響きを探します。最初は1小節につき1つの和音など、少ない変化で十分です。伴奏が難しければメロディーだけで先へ進みましょう。
最初から完璧な音源を求めず、始まりから終わりまで録音します。「最後が落ち着かない」「2小節目が長い」など、気になった箇所を1つ選んで修正します。
独学では、作る時間と評価する時間を分けると進めやすくなります。思いついた音を録る段階では止まりすぎず、修正は再生してから行います。
実践例:4小節のメロディーを完成させる
「音をどう並べるか」が分からないときは、次の課題を試してください。これは練習用の一例で、作曲の正解を示すものではありません。
- 「ド・レ・ミ・ソ」の4音だけを使うと決める。
- 最初の2小節を鼻歌で考える。1小節の中に休みを入れてもよい。
- 後半2小節では、最初のリズムを少し繰り返す。
- 最後の音を「ド」で終える案と「ミ」で終える案を録音し、印象を比べる。
- どちらがイメージに近いかを選び、4小節を一続きで録音する。
例えば、最初の2小節で音を上げ、後半で徐々に下げると、ひとまとまりに感じられる場合があります。ただし、音の上下だけで曲の良し悪しが決まるわけではありません。自分の耳で聴き、意図した雰囲気に近いかを確かめることが大切です。
短いフレーズから「曲」に育てる方法
4小節ができたら、同じフレーズをそのまま繰り返す、最後だけ音を変える、少し高い音域で歌い直す、といった変化を付けます。
8小節程度に伸ばせたら、冒頭と終わりを聴き比べて「始まった感じ」「終わった感じ」があるかを確認してください。Aメロ・Bメロ・サビを無理に作るより、まずは短くても始まりと終わりのある作品を1つ完成させる方が学びやすくなります。
独学の練習は1回20分からでも進められる
作曲は長く考え続ければ必ず良い案が出るわけではありません。短い時間でも、毎回の課題を絞ると「何をしたか」が明確になります。
| 時間の目安 | 取り組む内容 | 残す成果 |
|---|---|---|
| 5分 | 好きな曲の一節を聴き、リズムや音の動きを観察 | 気づいたことを1行 |
| 10分 | 鼻歌・楽器・打ち込みで短いフレーズを2案作る | 録音2案 |
| 5分 | 聴き直し、次回直す部分を決める | 改善メモ1つ |
上記の20分は編集上のメニュー例で、上達に必要な最低時間や成果を保証する数字ではありません。時間が取れない日は、1フレーズを録音するだけでも次回の材料になります。
作ったデータは日付と内容が分かる名前で保存しましょう。「メロディー案01」「4小節・修正版」のようにしておくと、変化を振り返れます。
作曲の独学でつまずいたときの見直し方
自分の曲に違和感があるときは、全部を作り直す前に原因を分けて確認します。
| 困りごと | 確認すること | 最初の対処 |
|---|---|---|
| メロディーが浮かばない | 使う音や曲の雰囲気を決めたか | 3音だけで2小節作る |
| まとまりがない | 同じリズムや音形が一度でも戻るか | 前半の一部を後半でも使う |
| 単調に感じる | 音の長さ・休み・高低が全部似ていないか | 一か所だけ休符か長い音を入れる |
| 伴奏が合わない | メロディーと伴奏の音がぶつかる箇所はどこか | その小節だけ伴奏を単純にする |
| 完成まで進めない | 曲の長さを欲張っていないか | 4〜8小節で一度完成扱いにする |
理論が分からないとき
音楽理論をすべて覚えてから作曲を始める必要はありません。ただし、同じ問題に何度もぶつかる場合は、その都度必要な項目を学ぶと役立ちます。
- 音がまとまらないなら、音階(スケール)と調(キー)
- 伴奏を付けたいなら、三和音と基本的なコード
- 小節が合わないなら、拍子・音符・休符の長さ
- 曲が続かないなら、繰り返しと変化の考え方
学んだ内容は、必ずその日の自作フレーズに1回使って確認しましょう。用語の暗記だけで終わらせず、耳で違いを確かめることが重要です。
独学だからこそ注意したい4つのこと
1.最初から完成度の高い曲と比べすぎない
プロの作品は作曲だけでなく、編曲、演奏、録音、ミックスなど複数の工程を経ています。初めて作る短いメロディーと音源全体の仕上がりを比べると、何が課題なのか分かりにくくなります。まずはメロディーや曲の区切りなど、同じ要素だけ比べましょう。
2.好きな曲を研究することと、公開用に使うことを分ける
既存曲を聴いて「どこでリズムが変わるか」「どんな繰り返しがあるか」を研究するのは学習に役立ちます。一方、他人の旋律や歌詞、録音などをそのまま自分の作品に取り込む場合は、著作権や必要な許諾を確認してください。
参考曲の特徴を観察することと、その作品の一部を無断で流用することは別です。公開や配信を考える段階では、素材やサンプル音源の利用条件も確認しましょう。
3.機材やソフトの学習に偏らない
作曲ソフトは便利ですが、操作方法を調べるだけで一日が終わってしまうことがあります。最初は「音を入れる・再生する・保存する」ができれば十分です。必要な操作は、曲作りの途中で少しずつ覚えていきましょう。
4.自分の耳だけで判断し続けない
毎回同じ箇所で迷う、曲の終わりが不自然に感じるなどの場合は、時間を置いて聴くほか、信頼できる知人や講師から「どこが聴き取りにくいか」など具体的な感想をもらう方法もあります。
他人の意見をすべて採用する必要はありません。自分の意図と、聴き手に伝わった印象の違いを確認する材料にします。
独学の進み具合は「作品の数」より作業で判断する
独学では進級テストがないため、「自分は上達しているのだろうか」と不安になることがあります。曲の数だけでなく、次の動作が自分でできるか確認してください。
- 思いついたフレーズを録音して残せる
- 4小節を一続きで再生できる
- 気になる部分を1つ言葉で説明できる
ここまでできたら、短い作品を繰り返し作ってみましょう。
- 前半と後半に変化を付けられる
- 簡単な伴奏の有無を比較できる
- 修正前と修正後を聴き比べられる
この段階なら、8小節以上の構成やAメロ・サビなどの役割に挑戦する選択肢があります。
これらは習得を保証する基準ではなく、練習内容を選ぶためのチェック項目です。できない項目があっても、必要な作業に戻れば問題ありません。
作曲を独学で始めるなら今日何をする?
最初の日にすることは多くありません。録音できるものを用意し、「明るい」「静かな」などのイメージを決め、鼻歌か楽器で2小節のフレーズを考えてください。その後、前半を繰り返すか少し変えて4小節にし、再生してみましょう。
曲らしく聴こえなくても、録音が残れば次の練習に使えます。音楽理論や伴奏は、困った部分に必要なだけ加えていけば十分です。
作曲の独学は、知識や機材を一度に揃えることからではなく、短い音楽を作って聴き直すことから始められます。
その小さな完成を繰り返しながら、リズム、伴奏、構成へ少しずつ広げていきましょう。