作曲に興味はあっても、「楽器が弾けないと無理?」「音楽理論を覚えてから作るべき?」「最初の1曲はどう作る?」と迷う人は少なくありません。作曲にはいろいろな方法がありますが、最初から複雑な曲や本格的な編曲を目指す必要はありません。
作曲初心者が最初にすることは、短い音のアイデアを残して、ひとまとまりのメロディーにすることです。
作りたい曲の雰囲気を決める → 口ずさむ・音を並べる → 4小節ほどにまとめる → 必要ならコードを付ける → 繰り返しや変化を加える → 録音して完成の順番で進めましょう。
初めての目標は、立派なフルコーラスではなく15〜30秒程度の短い作品を1つ残すことで十分です。長さは取り組みやすさを考えた目安です。
この記事では、作曲の経験がない人でも手を動かせるように、必要な道具、最初に覚える考え方、具体的な作業順とつまずいたときの対処を紹介します。
目次
作曲を始める前に決めることは3つだけ
「自由に曲を作ろう」と考えると、選択肢が多すぎて手が止まりがちです。最初の1曲では、先に小さな枠を決めると作りやすくなります。
- 雰囲気:明るい、落ち着いた、切ないなど、言葉を1つ選ぶ。
- 使う音:声、ピアノ、ギター、スマートフォンの鍵盤アプリなど、使いやすい手段を1つ選ぶ。
- 完成の範囲:4〜8小節、または短いフレーズを2回繰り返すところまで、と決める。
曲のジャンルや楽器編成まで最初から決める必要はありません。まずは「何をもって完成とするか」を小さく設定することが大切です。
最初の作品は歌詞なし・伴奏なしのメロディーだけでも成立します。作曲と編曲を一度に進めようとせず、まずは音の流れを形にしましょう。
作曲初心者に必要な道具と知識
道具は「音を試すもの」と「記録するもの」
作曲を始めるために、高価な機材を一式そろえる必要はありません。最初は次の2つがあれば試せます。
- 音を試す手段:自分の声、鍵盤、ギター、スマートフォンの楽器アプリなど
- 記録する手段:スマートフォンのボイスメモ、録音アプリ、メモ帳、楽譜作成ソフトなど
口ずさんだ旋律をボイスメモに録れば、楽器を持っていなくても作曲の第一歩になります。音を重ねたり修正したりしたくなった段階で、DAW(音楽制作ソフト)などを検討すれば十分です。
楽譜や音楽理論は最初から完璧でなくてよい
五線譜をすらすら読めなくても、歌った音を録音したり、鍵盤で探したりして曲を作ることはできます。ただし、次の3つを知っておくと修正や相談がしやすくなります。
- 拍:音楽の一定の流れ。最初は「1・2・3・4」と数えながら作る。
- 小節:拍を区切る単位。4分の4拍子なら、基本的に4分音符4つ分を1小節として考える。
- メロディーとコード:メロディーは主に耳に残る音の流れ、コードは同時に響く音のまとまり。
理論は作曲を始めるための入場券ではありません。先に短い音を作り、「なぜこの響きになるのか」を後から学ぶ進め方でも構いません。
初めての作曲はこの6ステップで進める
ここでは、楽器経験がなくても取り組みやすい「メロディー先行」の方法を紹介します。コードや伴奏から作り始める方法もありますが、初めの1曲は工程を少なくしてみましょう。
「朝の散歩のように軽い」「夜に静かに聴きたい」など、気分や場面を一つ書きます。迷ったときに音の選び方を決める基準になります。
短い言葉を話すように、上がる・下がる・同じ音を繰り返す、の組み合わせを試します。気に入ったら、うまく歌えなくてもすぐ録音します。
「1・2・3・4」と数えながら、音を鳴らす場所と休む場所を決めます。最初の2小節を提示し、後半の2小節で少し変化させて終えると、まとまりを感じやすくなります。
鍵盤などでメロディーに合いそうな和音を1〜2種類試します。伴奏が難しければ、この工程は飛ばして構いません。まずメロディーを完成させることを優先します。
4小節をもう一度演奏し、最後の1〜2音だけ変えてみます。「同じところ」と「違うところ」ができると、短くても曲としての流れが生まれます。
スマートフォンでもよいので全体を録音し、日付と仮タイトルを付けて保存します。後から直したくなっても、最初の版を残しておくと変化を確認できます。
「音の始まりと終わりがある」「自分で同じ流れをもう一度再現できる」「録音が残っている」の3点がそろえば、最初の作品はひとまず完成と考えてよいでしょう。音質やアレンジは次の課題です。
実際に4小節を作る練習例
音をどこから選べばよいか分からない場合は、白鍵だけで試せる次の例を使ってみてください。これは練習用に単純化したオリジナルの音の並びで、唯一の正解ではありません。
| 小節 | 音の並びの例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1 | ド・レ・ミ・(ミを伸ばす) | 少しずつ音を上げ、続きを期待させる |
| 2 | ミ・レ・ド・(休み) | 前の動きを反対にして、ひと息つく |
| 3 | ド・ミ・ソ・(ソを伸ばす) | 少し高い音へ動かして変化を作る |
| 4 | ミ・レ・ド・(ドを伸ばす) | 最初の音へ戻り、終わりを感じさせる |
上の例では、各小節を「最初の2音は4分音符、3音目は2分音符」とすると、4分の4拍子に収まります。ただし2小節目の最後の「休み」は、3音をそれぞれ4分音符にして4分休符を入れる形です。4小節目は「ミ=4分、レ=4分、ド=2分」と考えます。
音の高さを変えず、リズムだけ変えてみるのも有効です。たとえば「ド・ド・ミ・ソ」と4つの音を選び、長い音と短い音を入れ替えてください。最初から新しい音を大量に増やすより、少数の音で変化をつける方が構成をつかみやすくなります。
4小節が作れたら8小節に広げる
前半4小節をそのまま繰り返しても構いません。もう少し工夫したい場合は、後半の最後だけ違う音やリズムにしてみましょう。
- 1〜4小節:最初のメロディーを提示する
- 5〜6小節:1〜2小節を繰り返す
- 7〜8小節:3〜4小節の終わり方を少し変える
同じモチーフが戻ってくると、聴き手が曲を覚えやすくなります。最初の作品では、複雑な展開よりもまとまりを優先してください。
メロディー、コード、歌詞はどこから作ればよい?
作曲には決まった順序があるわけではありません。作りたい音楽や自分の得意なことに合わせて入口を選べます。
思いついた旋律をすぐ録音し、後から拍やコードを整える方法が向いています。
好きな和音を2〜4種類並べて繰り返し、その上でメロディーを口ずさみます。
短い1行を声に出し、言葉の自然なアクセントに合わせて音を付けます。
どの方法でも、最初から全部を同時に完成させる必要はありません。この記事では「最初に1曲を形にする」ための流れを扱っています。メロディーの展開方法やコード進行の詳しい作り方は、それぞれ別のテーマとして学ぶと整理しやすくなります。
1日15分でできる作曲練習メニュー
まとまった時間がなくても、作曲は短い工程に分けられます。以下は編集上の練習例であり、15分で必ず曲が完成するという意味ではありません。
| 時間の目安 | すること | 確認する点 |
|---|---|---|
| 3分 | 今日の雰囲気を決め、短い音を口ずさむ | 気に入った2〜5音を見つけたか |
| 5分 | 録音を聴きながら4小節に整える | 拍に合わせて再現できるか |
| 5分 | 音の長さや終わり方を1か所変える | 元の案との違いを聴き取れるか |
| 2分 | 録音し、次回直したい点をメモする | 後から聴き返せる状態か |
毎日新曲を作る必要はありません。前日に作った2小節を翌日に直すだけでも制作の一部です。仕事や学校で忙しい日は、鼻歌を1つ録音するだけでも次につながります。
作曲初心者がつまずく原因と直し方
何も思いつかないとき
「名曲を作ろう」と考えるほど、最初の音が出しづらくなることがあります。そんなときは、まずリズムを「タン・タン・ターン」と声に出し、後から好きな高さの音を付けてみてください。
あるいは「上がる → 同じ音 → 下がる」という動きだけを決める方法もあります。テーマを一つに絞ることで、試す方向が明確になります。
途中で曲が止まってしまうとき
続きが浮かばない場合は、すでにできたフレーズをもう一度使ってみましょう。最後の2音だけ変える、リズムだけ変えるなど、変化を一か所に限定すると続きが作りやすくなります。
どこかで聴いた曲に似てしまうとき
音楽の基本的な音の並びやリズムには共通するものも多いため、似た印象になることはあります。ただし、既存曲の特徴的なメロディーをそのまま使って自作曲として発表することは避けてください。
気になる場合は元の曲と聴き比べ、特徴的な音の順序やリズムを見直しましょう。偶然似ているかどうかの判断が難しい場合、公開・販売前に専門家へ相談する選択肢もあります。
音が多すぎてまとまらないとき
一度に多くの音や伴奏を入れると、どこを聴かせたいのか分からなくなることがあります。メロディーだけに戻して、繰り返したい部分を一つ残すところから整理してみましょう。
最初から他人の曲を丸ごとまねて「オリジナル曲」として公開しないようにしましょう。好きな曲の構成を分析して練習することと、既存の楽曲を無断で流用して発表することは別です。
最初の1曲ができたら、次に何を学ぶ?
短い作品を一つ保存できたら、気になる課題を一つだけ選んで深めるのがおすすめです。
- メロディーが単調:音の上がり下がりやリズムの変化を練習する。
- 伴奏を付けたい:基本的なコードとコード進行を覚える。
- 曲の長さを伸ばしたい:繰り返し・変化・Aメロやサビなどの構成を学ぶ。
- パソコンで形にしたい:DAWや打ち込みの基本操作を覚える。
たとえば「まず4小節のメロディーを作り、次はそのメロディーに合うコードを探す」という順番なら、学んだ知識をすぐ自作曲に使えます。知識を増やすことだけを目標にせず、作品を少しずつ育てていきましょう。
作曲初心者は短い1曲を完成させることから始めよう
作曲を始める段階では、楽譜を完全に読めることや、高価な機材を持つことより、浮かんだ音を消さずに残して、終わりまでつなぐ経験が重要です。
- 曲の雰囲気を一言で決める
- 鼻歌や楽器で短い音を試す
- 4小節程度にまとめる
- 繰り返しと変化を加える
- 録音して仮タイトルを付ける
作曲初心者が最初に覚えるべきなのは、難しい理論の全体像ではなく、短い音のアイデアを曲の形にする手順です。
そこから4小節に整え、録音として残せたら最初の1曲は完成です。次はメロディー、コード、曲の構成のうち、必要だと感じたものを一つずつ学んでいきましょう。